こんにちは!
突然ですが、鈴木裕氏の『科学的な適職』という書籍をご存知でしょうか?
「自分の適職は何だろう?」という問いに対し、過去の研究などを用いて、科学的に適職を導き出す方法をまとめた良書です。
今回の記事では、ベストセラーとなった鈴木裕氏の『科学的な適職』の中から、「仕事の幸福度を決める7つの徳目」について内容をまとめていきます。
これから紹介する7つの徳目は、充実した仕事に就きたいと考えている全ての人が理解すべき内容です。
本書を読んだ方も、まだ読んでいない方も、ぜひ参考にしてみてください!
もくじ
「仕事の幸福度を決める7つの徳目」とは?
それでは、「仕事の幸福度を決める7つの徳目」について紹介していきます。
結論から話すと、7つの徳目とは次のとおりになります。
- 自由
- 達成
- 焦点
- 明確
- 多様
- 仲間
- 貢献
どれも重要な項目になりますので、ひとつずつ解説していきますね。
自由:その仕事に裁量権はあるか?
作業の内容をどれだけ自分で決められるかによって、仕事の満足度は大きく左右されます。
本書では、いくつかの研究結果を示し、「自由」が最も仕事の幸福度を左右する要素であると裏付けています。
もし、企業に就職しようと考えている場合、仕事に「自由」を求めるのであれば、次の2つは要チェックです。
- 「労働時間はどこまで好きに選べるか」
- 「仕事のペースはどこまで社員に裁量があるか」
また、男女によって「幸福になりやすい自由」も異なってきます。
女性:仕事に取り組む場所とタイミングの自由
→リモートワーク、フレックスタイム制の会社を選択。
男性:仕事の進め方と作業ペースの自由
→作業の締め切りを決められる、仕事をこなす順番を動かせる会社を選択。
一概には言えませんが、参考にするといいでしょう。
達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
仕事のモチベーションが最も上がるのは、少しでも仕事が前に進んでいるときです。
非常にハードルの低い目標でも、達成することによってモチベーションは高まり、やりがいが生まれます。
「小さな達成」の内容は、仕事にさえ関係していればどのようなものでも構いません。
企画書の作成に必要なデータが見つかった、いままで悩まされてきたバグが解消された、マネージャーから褒められた……。
どんなに小さな達成でもあなたのモチベーションは高まり、そこには〝やりがい〟の感覚が生まれます。
もし、達成感を重視して仕事を探す場合には、自分の仕事のフィードバックがどのように得られるかに注目してください。
自分の作業へのフィードバックが即座に得られれば、小さな達成感を細かく味わえるので、モチベーションを維持しやすいです。
焦点:自分のモチベーションタイプは会っているか?
適職を探すにあたって、唯一役立つ性格テストが「制御焦点」と呼ばれるテストです。
これは、自分のタイプを「攻撃型」「防御型」の2パターンに分ける方法です。
焦点タイプに合った働き方をすることで、仕事の満足度も高まることが明らかになっています。
それでは、「制御焦点」テストを実際にやってみましょう。
下記の項目を、7点満点で回答してみてください。
利得接近志向尺度
1. どうやったら自分の目標や希望をかなえられるか,よく想像することがある。
3. 私はたいてい,将来自分が成し遂げたいことに意識を集中している。
5. 私は, 自分の理想§を最優先し,自分の希望や願い・大志をかなえようと努力するタイプだと思う。
8. 私はたいてい,人生において良い成果をあげることに意識を集中している。
9. 学校での私は,学業で自分の理想をかなえることを目指している。
10. どうやったら良い成績がとれるかについて,よく考える。
12. 将来どんな人間になりたいかについて,よく考える。
15. こうなったらいいなと願っている事がかなう様子を,よく想像する。
損失回避志向尺度
2. 私はたいてい,悪い出来事を避けることに意識を集中している。
4. どうやったら失敗を防げるかについて,よく考える。
6. 自分の責任や役割を果たせないのではないかと,よく心配になる。
7. 怖れている悪い出来事が自分にふりかかってくる様子を,よく想像する。
13. 目標とする成績をとれないのではないかと,よく心配になる。
16. 学校での私は,学業での失敗を避けることを目指している。
17. 自分が将来そうなってしまったら嫌だと思う自分像について,よく考えることがある。
18. 私にとっては,利益を得ることよりも,損失を避けることの方が大事だ。
利得接近志向尺度が「攻撃型」、損失回避志向尺度が「防御型」のことです。
それぞれの項目に7点満点で回答し、点数の多かった方があなたの焦点タイプということになります。
それぞれのタイプに向いている仕事の内容は、次のとおりです。
- 「攻撃型」は目標を達成して得られる利益に焦点を当てており、動きの早い業界に向いています。
- 「防御型」は自分の義務を果たすことに焦点を当てており、データ処理などの慎重さが求められる業界に向いています。
こちらも、職選びの参考になりそうですね!
明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?
タスクが明確でないと、自分が行う作業の手順や納期がわからず、モチベーションが下がってしまいます。
会社内での自分の役割がわからない、上からの指示が統一されていない、上層部にビジョンが感じられない…。
本書では、上からの指示が一貫していないと、社員の体調不良に繋がるというデータがあると指摘しています。
例えば、寝ても疲れが取れない、頭痛や胃痛を引き起こすこともあるようです。
企業に就職する際には、その会社に「明確なビジョンがあるか」を確認するといいです。
具体的には、次の2つです。
- 人事評価の正当性
- 個人の貢献と失敗を目に見える形で判断できる仕組みがあるか
採用面接のとき、逆質問でぶつけてみるといいでしょう。
多様:作業の内容にバリエーションはあるか?
人間は、どのような変化にもすぐ慣れてしまう生き物です。
こちらの記事でも紹介しましたが、宝くじで1億円当たったとしても、年収が1000万円になったとしても、嬉しいと感じるのは最初だけです。
段々と、1億円を手にした生活、年収が1000万円になった生活に慣れてしまい、満足度が減ってしまいます。
これらは、心理学では「快楽のウォーキングマシン」と呼ばれています。
多様性は重要ですが、経営者からしてみれば重要ではありません。
なぜなら、従業員には同じ作業をしてもらった方が効率がいいからです。
慣れた仕事をしてもらうほうが効率が良くなるのは、想像しやすいと思います。
しかし、従業員からすると、同じ作業を繰り返すことで仕事の幸福度は下がってしまいます。
結果的に、離職率も上がってしまうのです。
仕事を決めるにあたって、業務の内容に多様性はあるかは重要です。
具体的には、工程の川上から川下まで関わることができるかどうかで判断できます。
エンジニアであれば、設計からコーディング、テストまでできる環境か?となりますね。
仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
どんなに仕事そのものが好きでも、苦手な上司・同僚と一緒に仕事をするのは苦痛でしかないはずです。
劣悪な人間関係のなかで働くと、寿命が短くなるという報告もいくつかあがっています。
そして、本書では社内に友人がいるだけでも人生の幸福度は増すとされています。
では、会社選びの際、どういったことに気をつければいいのか。
それは、自分と雰囲気・考え方が似ている人がいるかどうかです。
人間は自分に似た人を好きになる傾向があります。これは「類似性効果」と呼ばれる心理現象です。
なので、企業訪問や面接時に、どのような人が働いているのかチェックすることをオススメします。
貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
他人への貢献がわかれば、仕事で満足感を得られやすいです。
キレイごとに聞こえるかと思いますが、多くのデータが貢献のメリットを支持しているため、「科学的に正しいキレイごと」です。
本書では、他人への貢献のメリットを研究結果から説明するとともに、次のように記載されています。
そのため一部の学者などは、親切による幸福度アップの効果を「ヘルパーズ・ハイ」と呼んでいます。
わざわざドラッグの力など借りずとも、私たちは社会への貢献で十分ハイになれる、というわけです。
こうした理由から、仕事を選ぶ際には、自分の行為が相手の役に立ったと可視化しやすいかどうかが重要になります。
単純作業になりがちな工場勤務やレジ打ちは、どうしても他人への貢献が可視化しにくいです。
仕事で「ヘルパーズ・ハイ」になりたいのであれば、7つの徳目の「達成」と同様、自分の仕事のフィードバックがどのように得られるかを気にするといいですね。
まとめ
もう一度、7つの徳目をおさらいしてみましょう。
- 自由
- 達成
- 焦点
- 明確
- 多様
- 仲間
- 貢献
これらの徳目を満たせない仕事に就いてしまうと、どんなに憧れた仕事であったとしても、仕事での幸福度は上がリません。
自分の仕事が本当に幸せなものなのか、7つの徳目を参考に、一度チェックしてみてはどうでしょうか。
また、今回ご紹介した『科学的な適職』では、幸福度の高い仕事に就くための具体的なアプローチも紹介しています。
自分の進路を決めていくうえで、必ず役立つ知識・方法が盛りだくさんな一冊になりますので、気になる方はぜひ!